“幸福”とは。

やわらかな陽の光があたたかい冬のお昼です。

きもちいいな。ねむたいな。

なにもかも忘れてしまいそうな、ふわふわした風が部屋の中に舞い込んでくる。

たわたわとカーテンが泳いでいます。

あなたもねむい？

わたしはとろんとしています。

今朝は久々に掃除機をかけました。

いつもモップで手抜きをしているんだけど。笑

洗濯もかけて、洗面所を磨きました。

ゆっくりごはんを食べて、珈琲を飲んでいます。

ちょっと甘いものをつまんだりして。

そして、舞台のこと、稽古のこと、作品のことを考えています。

「幸福の王子」

今回の舞台で、オスカー・ワイルドの“幸福の王子”を扱っています。

ちょっとばらしちゃうけど、わたしは“ツバメさん”役です♡

知らない人もいると思うので、幸福の王子をすこしご紹介。

『無憂宮（憂いのない宮殿）』というところで幸福に生きて幸福に死んだ王子は、綺麗な銅像として街の中心に建てられた。

そこへ、葦に恋をしたために南下しそびれた一匹のつばめがやってきて、王子の涙に気づく。

王子は苦しみを受けている人々の姿をみて、自分の装飾品を剥ぎ取って、人々に与えてほしいとツバメに頼む。ツバメは王子の言う通りに、苦しみを受けている人々のところに飛んでいき、王子の身体の一部を次々と届けにいく。そのたびに、ツバメは街で起こっていること、街の人々の様子を王子に話して聞かせる。

王子は、自分の身体に施された装飾品をすべて与えてしまうと、みすぼらしい銅像となる。

そして冬も深く寒くなり、ツバメは王子にキスをして、王子の足下で死という眠りにつく。その瞬間に、王子の鉛でできた心臓が、ぱちっと二つに割れる。

神が天使にこの街でいちばん尊いものを二つ持ってきなさい、というと、天使は、割れた心臓とツバメの死骸を持ってきた。そして神はいう、お前はいいものを持ってきた、と。

と、言ったかんじのお話です。

童話なので、こどもの頃に読んだことあるひと、多いんじゃないかな。

いやはや、シンプルで短い童話ですが、奥が深いです。

自己犠牲、無償の愛。見返りを求めず、誰にも気づかれず、でも与え続け思い続けて。

最初の方の稽古で、幸福についてみんなで話し合いました。

すごくすてきな議論の空間だったなあ。

いろいろな意見が出ました。

幸福な状態とは？

・愛情

・新しい発見、知との出会い

・満たされていると実感すること

・悩みが解決された状態

・願いが実現する

・求めている状態

・比較 etc...

ざっくりとおおまかなところだとこんなのが出た。

具体的にいうと、

大切なひとが笑ってる、しあわせそう、とか。

不幸せ感がない、とか。

衣食住に不自由しない、とか。

呼吸ができる、とか。

幸福とは？

これはもう迷宮議論なのだけど、ね。

たとえば、こんな意見もありました。

いま、わたしたちは食べれて住むところがあってやなことや悩みがあってもやりたいことをやって、それなりになに不自由なくこの日本という国で生きてる。

でも今この瞬間にも世界のどこかでは、餓死しているこどもや、戦争や、むごたらしい事実があるということを、考えてしまうと、果たしてわたしたちは幸福なんて言っていいものか、と。

これは極端な考え方だけど、比較をしてしまうと難しいよね。

あの人よりは幸せ、とか。

あの時よりは幸せ、とか。

またその逆とか。

わたしは、わたしの好きな人たち、大切な人たちと、美味しいねと言い合って一緒にごはんを食べられるときって幸せだなあ、とおもう。

そして、そのひとたちが笑っているということ。

わたしを受け入れてくれてる、ということ。

一緒に生きている、と思えること。

しあわせだなあ、とおもう。

生きてていいんだよ、と思わせてくれる。

生きててよかった、と思わせてくれる。

人も、物も、わたしが好きで大切だなあ、と思えるそのキモチも、しあわせだなあ、と思う。

しあわせってなんだろう。

こんな答えのないことを、今回の舞台でみんなで取り組んでいます。

「精神的なつらさをみんなで楽しもう！

精神的な充実を味わえ伝えれる、精神的な苦痛を表現する喜び、それが俳優である。」

といったようなことを演出家の方が言いました。

ああ、なんてすてき！とわたしは息を漏らしました。

どんどん、幸福の王子が好きになっていってます。

そしてまた、脚本がすてきなんだわ。

この作品、この劇団に携われて、わたしは幸せです。

「幸福な仕合せ」

あんなにも包まれたあとだから

見えなくなると

無性に不安になるの

なくなった訳ではなくて

ただ、いまは見えてないだけなのに

心臓がつぶれてしまうほどの幸福感に

目が見えなくなりそうとおもい

見えなくなってもかまわないとおもったのに

いま、我が儘なほど心許ないの

消えてしまったかもしれないって

もう二度と遭えないかもしれないって

そんな不安を跨ごうとしてる

仕合せのずるさに毒ついて

でもその仕合せにとろけて

甘やかに啼いて

あなたがくれた幸福は

わたしのうんと奥深いところで

息をしている

あなたにあいを。

あなたにえがおを。

あなたにしあわせを。

あなたのまいにちがしあわせでありますように。

always hoping you're in joy and hapiness

love you

xoxo

梨瑳子